遠野の夏休み

アーティスト菊池幸見
作詞菊池幸見
作曲杜丘俊
(語り)
夏休みになると、ぼくらは毎日早瀬川で遊びました。海パンにランニングシャツ、水中メガネにヤスを持って、自転車で
集まりました。お腹が空くと雑魚を捕まえて、焚き火で焼いて食べました。時々近くの畑から瓜を失敬したりもしました。
ある時、友達のK太が言いました。「夏休みの問に早瀬川のヌシを捕まえるぞ、冒険しようぜ」って。兜岩という大岩の
下に、大きな魚が棲んでいるというのです。ぼくらは燃えました。ぼくらは冒険という言葉の響きにメチャクチャ弱かった
のです。こうしてぼくらの夏休みの目標が決まりました。

鍋倉から見下ろすと ぼくらの城下町
瓦屋根の並ぶ向こうに 田んぼが続いてる
町の中を流れていく 早瀬川光り
ぼくらの夏休みを 受けとめてくれる
雲は笑い 風はささやき
鳥は歌い ヤマメは跳ねる
遠野の夏休み ぼくらの夏休み

(語り)
夏休みの間に、T子ちゃんが転校することになりました。ぼくらはみんな丁子ちゃんが好きでした。だから最後に勝負す
ることにしたのです。T子ちゃんが一番喜ぶ物をプレゼントした奴の勝ち、って。見送りの日、駅に集まったぼくらが持ち
寄った物は、特撮ヒーローもののアルバムにミヤマクワガタ、平泉のペナントにアイドルグループのポスター。勝ったと
思いました。だってぼくからのプレゼントはかわいいマグカップだから。でもT子ちゃんは全部喜んでくれました。長い汽
笛が盆地に響いて、お別れの時がやってきました。丁子ちゃんを乗せた汽車がゆっくりと動き出したとたん、なんだか、
なんだか・・・胸が苦しくなりました。

遠ざかって行く列車に いつまでも手を振り
さようならと叫び走った プラットホーム
泣きだすのをガマンするため 空を見上げてた
ぼくの手の中には 白い紙テープ
雲は笑い 風はささやき
鳥は歌い ヤマメは跳ねる
遠野の夏休み ぼくらの夏休み

(語り)
夏休みも気付くと後三日だけ。宿題がたっぷり残っています。真面目な同級生に頼んで、宿題帳の答えを急いで写させ
てもらいました。あとは作文ですが、みんな川遊びの話しか書くことがありません。結局ヌシは捕まえられなかったし・・・。
その頃になると、ぼくらは真っ黒に日焼けして、夜になるとどこにいるのかわからないほど。そういえば、あの頃の夜はネ
オンなんか無くて、本当に暗かっかです。その分、星がきれいに見えましたし、蛍もそこら中を飛んでいました。揺れる
灯りを見ながら、いつまでこうしてみんなで遊べるのだろうか、なんて事を少し考える年頃になっていました。

雲は笑い 風はささやき
鳥は歌い ヤマメは跳ねる
遠野の夏休み ぼくらの夏休み

山は笑い 川はささやき
人は歌い ぼくらは跳ねる
遠野の夏休み ぼくらの夏休み

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